『こうほく市民ジャーナル』に寄稿

港北の環境を守り住民の自治を進める会、発行の季刊誌のメンバーに参加して、これまで、ミエルの活動を中心に投稿しています。

 

2020.09  No129

新しいライフスタイルに向けて      鈴木健夫(NPO法人街カフェ大倉山ミエル)           

 新型コロナとの共存の時代に「新しい生活様式」が提唱されています。私たちはその以前から、街カフェ大倉山ミエルで『新しい地縁』のある、のんびり過ごせる街作りを目標に、子どもからお年寄りまで、いつでも立ち寄れる居場所になり、『聞き合える関係性』のある『人と出会る』場を目指していました。ある意味で緊急事態宣言のステイホームは、他県に出かけない、家で過ごそうということは、ミエルが目指すことに繫がるあり方です。できれば、生きてゆくために最低限必要な、そして、大切な物、大切な人間関係の中で暮らす豊かな生活に近づけたらと考えています。家で、男も家事を楽しみ、家族や一人でのんびり過ごせることが楽しいと思えるように、意識を変える良い機会だと思います。         

 大切な物まで商品にしてしまい、不要な物を買ってしまう商品化社会も、少しでも見直されれば良いと思います。それこそ、私たちも生活全体の断捨離を本気で進めなければと考えています。又、普通の人が政治・行政に関心が向き、外国との比較もできる良い機会になっているとも思います。ただ、それが単純に良い結果につながるかは不明だけれども。だだ、4月11日のNHKの番組「新型コロナウイルス 瀬戸際の攻防」での今回の日本における感染症対策センターの押谷先生(WHOで感染症対策の指揮を執った)、西浦先生の強い意志には頭が下がります。※

 また、ミエルのベビー部のママや子ども達のオンライン会議等を見ていて、コミュニケーションやコミュニティの必要性を改めて感じています。さらに、オンラインでは話してはいても直接会うことの安心感や楽しさはかけがえのないものであると思います。色々な意味でライフスタイルを変える機会にできるようにミエルでも試行錯誤して行きたいと考えています。※NHKスペシャル 新型コロナウイルス瀬戸際の攻防4月11日放送 

2021.03 No 131

新型コロナ下における身近な支援       大倉山ミエル 鈴木健夫

「子ども食堂」とフードバンク

大倉山ミエル(ミエル)は、コロナ下前から、皆さんに手伝っていただいて、「子ども食堂」(みんなの食堂)を月1回、60食(大人:500円、子ども:100円、3回転)で開催していましたが、コロナ下の今は、お弁当の配食(30食、無料)とフードバンク品等の配布(月1回)で対応中です。最近、スクールソーシャルワーカーや学校や社協、民生委員等につながり、シニアも含めた単身家庭等、支援が必要な人にお弁当等の配布ができるようになり、今後は複数のフードバンクにつながり、配布や配食を充実していきます。

スクールソーシャルワーカーとのつながり

ミエルに近隣小中学校の校長先生等が来られるようになっています。「ちびっこミエル」や「放課後ミエル」等での「子どもが考える子どものための自由な居場所」の遊びや、居場所やアート的な活動等を港北区のスクールソーシャルワーカーが知り、不登校の子どもさん、様々な不安を抱えた親子さんやコロナ下で仕事を無くした家族等を、ミエルに繋いでくれています。ミエルでできることは配食等や、誰かに繋ぐ等、限られていますが、児相に相談するまでではないが、難しい状況の家族が、港北区にも、こんなにもいるのだと改めて驚いています。「社会的処方」やコミュニティナース的な活動の必要性を身近でも感じています。それから、色々な個性やハンデを持った子ども達を持つ親同士で対話をする会、「みかん会」も始まっています。ミエルの様な徒歩圏のインフォーマルな小さな居場所が果たす役割が、コロナ下で一層、増していると考えています。

寄付等の社会参加の敷居の低い活動

 昨年秋のフードトラックのお弁当配布を利用した近所の方から、「子ども食堂」に毎月、寄付をいただくことになりました。「子ども食堂」が、クラウドファンディング等とは違った、顔の見える近所の人たちにとっての社会貢献活動への、ひとつの敷居の低い活動なのだと思っています。その意味でもミエルとしても、そんな活動を用意し、活動がミエルの前を通りかかる人からも、社会からも見えるように展開してゆくことも意識していきたいと考えています。

2021.06 No132

ワクチン申込のドタバタ劇        大倉山ミエル 鈴木健夫

ミエルのシニアサロン「おでかけミエル」に毎週いらっしゃるTさん、Mさんの代わりに、ワクチン申込みをしました。Tさんの分は、初日の5月3日はダメでしたが、5日には倍率4倍ほどでしたが、初日の失敗で様子が分かったので、何とか取れました。接種日が5月27日、2回目は6月17日の予定です。一方、Mさん分は10日の第3回目の時も予約できませんでした。当日は午前九時から75歳以上、45万人を対象に約2万7千件分の集団接種予約を専用サイトと電話で受け付けるということ、サイト分に確保していた約1万3千件がわずか25分で埋まったそうです。開始時刻から申し込もうとしましたが、5分でつながった時には港北公会堂の枠は全て満席でした。それで、6月初めから始まる、掛かりつけ医の方に申し込む事にしています。

実は私の母(84歳)が、茨城県那珂市で、ひとりで暮らしています。5月11日、12日に、掛かりつけ医にワクチンの接種の電話予約をしようとして、一日中、何度もかけ直したが、予約できなかったようです。次回予約は6月15日です。那珂市は人口約⒌万3千人、今回の対象が65歳以上(約1万7千人)に対して、2千人分でした。身内の心配をすべきと反省もしつつ、やはり、より丁寧な情報公開が不足しているし、本当にドタバタになっているなぁと思います。

 一方、身近に、四月から横浜市のコロナ担当に代わった若い友人が、夜遅くまで、土日も出て、周りの人が倒れないか心配しながら、「申しわけない限りです。」というラインだけで、書き込みもめっきり減っている状態が本当に心配でもあります。今は、ある意味、災害時なのだと感じてもいます。

武藤講演を受けて ミエルのステイコミュニティへの試み  大倉山ミエル 鈴木健夫

柔らかい物腰と強い意志

子どもと自然体で付き合うこと、障害もそのまま受け入れること、社会的実践の大切さ等について、いつも、武藤さんはおだやかにお話しされます。若い人たちにも武藤さんに出会ってほしい、その物腰の柔らかさと、それを支える行動に裏付けされた強い意志を感じてもらいたいと思います。四回目の講演では、ミエルに関わる親ごさんもZOOMで参加したのですが、ミエルでも、意外?にまじめな話をすると盛り上ります。近々「武藤さんを囲む会」を計画中です。

フードパントリーと「みかん会」

ミエルでは、子どもの悩みを抱える親ごさんたちが、お互いの悩みを話し合う「みかん会」を月一回開催しています。普段、元気におしゃべりしているお母さんたちも、想像以上に子どもの悩みを抱えていることに気づかされています。そんな時、良い専門家がいてくれたらとも思います。先日も、社協がつないでくれたシングル家庭等へのフードパントリー配布(月2回)時に、たまたま居合わせた看護師さんが、シングルマザーのお子さんの悩み事を、親身になって聞いてあげていました。まさに、そんな事がフードパントリーや配食の大切な目的でもあります。

Edu Café」と「ミエルの部屋」

あるお父さんの発案で、親同士で教育を原点から考える時間を共有する試みとして、「Edu Cafe」 も開催しています。コロナ下でもあり、太尾南公園の芝生広場、大倉山ハイムの中庭の木陰で、ピクニックを兼ね子連れで開催しています。現在はお互いを知合う段階で、「こども自慢」「なぜ学ぶのか?」等の身近な話題から始めています。小学生対象の「放課後ミエル」でも大人の議論の場を設けたいとの話も出ています。例えば「戦争」について語り合いたいという大学生がいます。

 また、色々な海外での生活や仕事等の話し、例えば「フィリピンでのJICAの仕事や現地の生活」、「大倉山で狩猟生活」、「ドイツの子育て」等を親子で聞く、「街の社会学」も開催し、毎日の生活に関する知見を広げる活動もしています。先日の武藤さんの「レッジョエミリア」や「フィンランドの教育」のお話が我々の身近な生活の在り方を見直す良い契機になると感じました。昨年の11月に次いで、6月12日、13日に大倉山記念館ギャラリーでこれらの活動を紹介する展覧会を開催する予定です。


『〈自由な〉拠点の作り方』

厚生労働省令和2年度社会福祉推進事業 地域共生社会における多機能型地域拠点の活用に関する調査研究

「地域共生社会を実現するための 手探りではじめる〈自由な〉拠点の作り方」に紹介されました。

全国の14拠点の1例としてヒアリング・紹介いただきました。本書のはじめにに記されている様に、「国の地域共生社会の施策には多機能型地域拠点はありません・・・」また「それは地域住民が自主的に〈自由な〉拠点づくりをすることから生まれた結果だという事でした。」まさにミエルが目指す地域住民が主体的にかかわる街づくりの実践がたくさん紹介されています。できれば施策にも反映していただければと願っています。2021.03.31